Nuclear Abolition News and Analysis

Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.
A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status with ECOSOC.

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Author name: Katsuhiro Asagiri

Photo: Applause after the adoption of the political declaration and action plan as 1MSPTPNW ended on June 23 in Vienna. Credit: United Nations in Vienna

Let’s Eliminate Nuclear Weapons, Before They Eliminate Us

核兵器がわれわれを滅ぼす前にわれわれが核兵器を廃絶しよう。 【国連IDN=タリフ・ディーン】 国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、ウィーンで開催されていた核兵器禁止(核禁)条約の第1回締約国会議(6月21日~23日)にビデオメッセージを寄せたが、そのなかで行った警告はまさに的を射たものだった。 「核兵器がわれわれを滅ぼす前にわれわれが核兵器を廃絶しよう。」―グテーレス事務総長はこう述べて、国際社会が対話と協調を通じた問題解決ができていない現実を、核兵器という致命的な存在が想起させている点を指摘した。また、「核兵器は安全と抑止という誤った約束を提供しますが、実際には、破壊と死、際限なき瀬戸際政策をもたらすだけです。」と語った。

Review Conference on Nuclear Non-Proliferation Treaty Stalled due to Rising COVID-19 Infections

Review Conference on Nuclear Non-Proliferation Treaty Stalled due to Rising COVID-19 Infections

核不拡散条約再検討会議、新型コロナウィルス拡大で停滞 【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】 ニューヨーク市で新型コロナウィルスの感染拡大により活動が停滞している国連が、1月4日~28日の日程で予定され、長らく待ち望まれていた第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議の延期を余儀なくされた。 国連軍縮局NGO連絡室のダイアン・バーンズ氏は「いかなる形でも2022年1月に再検討会議は行われない」と明言した。 2021年1月と8月に続く3回目の延期である。国連は2020年3月よりロックダウン状態にある。 NPT再検討会議は5年に1度開かれることになっている。

Photo: Gathering of Stockholm Initiative for Nuclear Disarmament against the backdrop of the city of Stockholm (August 2020) showing the Kastellet, Vasa Museum, and Nordic Museum.

Stockholm Initiative Determined to Achieve the Elimination of Nuclear Weapons

ストックホルム・イニシアチブ、核廃絶への決意を示す 【ベルリン/ストックホルムIDN=ラメシュ・ジャウラ】 「核軍縮とNPTに関するストックホルム会合」(構成16カ国)が、2022年1月4~28日の日程で開催される第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議に対して、「人類を守るという利益のために、政治的リーダーシップを発揮し、条約の下でなされた公約や成果を尊重し、非核兵器世界に向けた決定的な道筋へと導くよう」求めた[訳注:再検討会議は、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、再度の延期が決まった]。 2019年にスウェーデンで開始された「ストックホルム・イニシアチブ」は、核軍縮に実践的な推進力をもたらし、核兵器国と非核兵器国の架け橋となることを目的としている。

Photo: Ambassador Gustavo Zlauvinen, President-designate of the Tenth NPT Review Conference, addresses the opening of the regional meeting on November 13-14.

The NPT Will Probably Endure, But Its Longevity May Be at Stake

|視点|NPT自体は永続するとして、その意義は保たれ続けるか?(セルジオ・ドゥアルテ科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議議長、元国連軍縮問題上級代表) 【ニューヨークIDN=セルジオ・ドゥアルテ】 核不拡散条約(NPT)は2020年で50周年を迎えた。この記念の年に第10回再検討会議が開催される予定だったが、残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大のために延期になった。議長に指名されたグスタボ・スラウビネン氏は、会議を成功に導くために、この遅れを利用して締約国と協議を深めようとしている。 最終文書の採択は通常、会議の「成功」を示すものと見られている。しかし、NPTはその50年の歴史の中で見解の対立とコンセンサスの不在に悩まされてきた。2015年の前回の再検討会議以来、見解の相違を埋めることができず、新たな問題も発生してきた。そうした問題を抱えているにもかかわらず、NPTがしばらくの間はなくなることはないだろう。とはいえ、軍縮に関して全体としては貧相な実績しか残せていないことから、その永続性に疑問が付される可能性もある。

Photo: An unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile launches during an operational test on October 29, 2020, at Vandenberg Air Force Base, Calif. Credit: U.S. Air Force.

Elimination of ICBMs Would Greatly Reduce the Chances of a Global Nuclear Holocaust

ICBMの廃絶で核の大惨事の危険は大きく下がる 【サンフランシスコIDN=ノーマン・ソロモン】 核兵器は、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアが「軍事主義の狂気」と名付けたもののきわみである。もしあなたが核兵器のことなど考えたくもないとすれば、それも理解できる。しかし、そのような身の処し方は限られた意味しか持たない。地球の破滅を準備することから大きな利益を得ている者たちは、私たちが核兵器について思考を回避することでさらに力を得ることになるからだ。 国の政策レベルにおいては、核の狂気は正常なものとみなされ、再考に付されることはない。しかし「正常」が「正気」を意味するとは限らない。ダニエル・エルズバーグ氏は、その好著『世界を終わらせるマシーン』の中で、フリードリッヒ・ニーチェの次のような戦慄の言葉を引用している。「個人の狂気は異常とみなされるが、集団や政党、国家、時代の狂気は規範と見なされる。」

Photo: An artist rendering of the future U.S. Navy Columbia-class ballistic missile submarines. The 12 submarines of the Columbia-class will replace the Ohio-class submarines which are reaching their maximum extended service life. It is planned that the construction of USS Columbia (SSBN-826) will begin in the fiscal year 2021, with delivery in the fiscal year 2028, and being on patrol in 2031. Source: Wikimedia Commons

The Challenge of Nuclear Submarine Proliferation

  原子力潜水艦拡散の危険 【ニューヨークIDN=J・ナストラニス、タリク・ラウフ】 海軍が保有する核燃料を検証し、高濃縮ウランを低濃縮ウランに転換することについて、法律・技術・政策の側面から多くの専門家が真摯な検討を重ねてきているが、残念なことに現実は、高濃縮ウランを使うどの海軍も、それを低濃縮ウランへと転換したり、国際原子力機関(IAEA)を初めとした査察官を1スカンジナビアマイル(10キロメートルに相当)に近づけることにすら関心を持っていない。 米海軍は、ノーチラス級の原子力推進攻撃潜水艦(SSN)に始まって、高濃縮ウランを使った燃料と原子力船推進用原子炉の先陣を切ってきた。1955年1月17日、ユージン・ウィルキンソン指揮の下、米潜水艦「ノーチラス」(SSN-571)が原子力艦船として初就航した。ウェスティンハウス社製70MWthの加圧水型原子炉(S2W)を推進力としていた。ウィルキンソンは大西洋潜水艦隊司令官に「原子力にて航行中」という歴史的なメッセージを打電した。以来、艦船推進と海軍技術におけるこの革新は、今日まで続いている。

Middle East Nuclear-Weapons-Free Zone, Long Elusive, is Making Progress, say Experts

待ち望まれた中東非核兵器地帯、進展を見せる 【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】 政治的、軍事的に激動の中東に非核兵器地帯を創設するという提案が長らく実現できずにいる。1967年以来、ラテンアメリカ・カリブ地域、南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアと、世界の5か所に非核兵器地帯が創設されてきた。 11月29日から12月3日まで開催された第2回「核兵器及びその他の大量破壊兵器のない中東地帯の創設に関する国連会議」で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、既存の5つの地帯は国連の193の加盟国の60%を占めており、南半球のほとんどをカバーしていると指摘した。

Photo source: Warfare.Today

North Korea Flexes its Nuclear Muscles – and Defies the Western World

核戦力を強化し、西側に抵抗する北朝鮮 【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】 北朝鮮は、長らく「隠者の王国」と呼ばれてきたが、依然として政治的にも、経済的にも、地理的にも、世界から孤立し続けている。 厳格な制裁措置や国際的な孤立化政策をもってしても、また、深刻な食料不足が発生しているにもかかわらず、この国(正式名称を「朝鮮民主主義人民共和国」)が、米国・英国・フランス・ロシア・中国・インド・パキスタン・イスラエルと並ぶ世界9カ国目の核保有国として、核開発を推進させることを妨げなかった。

Photo credit: UNFOLD ZERO

UN Warned of an Impending Threat from a Climate-Nuclear Nexus

国連が気候危機と核の脅威のネクサス(関連性)による差し迫った脅威を警告 【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】 核軍縮に関する国連総会ハイレベル年次会合は9月28日に開催されたが、今年の特徴は気候問題に取組む若い活動家等が史上初めて参加し、気候危機と核の脅威のネクサス(関連性)による差し迫った脅威について警告を発した点だ。 世界未来評議会のユースプレゼントイニシアチブとYOUNGOのメンバーでありスイス出身のマリー・クレア・グラフ氏は、会場の各国代表に向かって、「私たちは、過去と現在に決められた政策が招いた影響を経験しています。そうした決定は私たち青年が関与していないにもかかわらず、皆さんと等しく、人類の生存そのものを脅かす複数の危機に直面しているのです。中でも最たる危機が、気候危機と核兵器の脅威に他なりません。」と語った。

Photo source: Warfare.Today

A US-UK Submarine Deal Triggers Nuclear Fears Down Under

|オーストラリア|米英からの原潜供与協定が核の恐怖を引き起こす 【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】 米英両国が手を結んでオーストラリアに原子力潜水艦を提供する三国間協定(AUKUS)の締結を受けて、反核活動家らは、協定が地域における新たな核大国の登場につながるとの懸念を示した。 スコット・モリソン豪首相は、三国は「新たに強化された三国間安全保障パートナーシップ」に合意したと述べ、新協定は「国内で原子力を推進したり、核兵器を取得したりする動きにつながるものではない。」と断言した。 しかし、豪州自然保護財団(ACF)は、もし政府が核兵器禁止条約に署名・批准すれば、首相の言葉にも信用が置けるだろうと述べた。 「もしそうしなければ、核兵器保有へと将来的にこっそりと横滑りしていく扉は開けているということだ。」と同財団は警告した。

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