A Landmark Achievement for Nuclear Disarmament

核軍縮に向け画期的な成果(セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮問題担当上級代表)

【国連IDN=セルジオ・ドゥアルテ】

Sergio Duarte /James Leynse | CTBTO国際社会の圧倒的多数が、諸政府や非政府組織と共に画期的な核兵器禁止条約に合意することで、軍縮問題の取り扱いにおける重要な一歩を刻んだ。核兵器禁止条約は2017年7月7日、賛成122、反対1(オランダ)、棄権1(シンガポール)で採択された。

国連では、昨年12月23日に採択された国連総会決議71/258に盛り込まれたマンデートに従って3月15日~31日と、6月17日~7月7日の二会期にわたって、「核兵器を禁止し、その完全廃絶に導くための法的拘束力ある文書を交渉する会議」(交渉会議)が開かれた。参加者らは、核兵器の完全廃絶を実現する方法に関して各国政府や学術機関、市民団体が数年にわたり取り組んできた研究成果や諸提案の内容を生かした。

 

交渉会議で議長を務めたエレン・ホワイト・ゴメス駐ジュネーブ軍縮大使(コスタリカ)は、概ねその能力と外交手腕を賞賛された。交渉会議で採択された報告書は、次の国連総会会期に提出され、そこで次に進むべき方向が決められることになる。国連総会は72回会期において、核兵器禁止条約を歓迎し、2017年9月20日から同条約を署名開放する決議を採択するとみられている。交渉会議の参加者らが、核兵器禁止条約の早期発効に向けて、必要な数の国が速やかに署名・批准するものと考えているのは至極当然だろう。

ホワイト議長は3月22日に第一草案を提示し、交渉会議の議論が進展すると、6月27日と7月3日にも草案を示した。また7月7日には、7月5日の会合で参加各国から出された意見を基に第7条、8条、13条に修正を加えたものが、ホワイト議長によって文書A/Conf.229/2017.CRP.3の形で示された。条約の最終文面は7月7日に採択され、文書A/CONF.229/2017/L.3/Rev.1に記載されている。

活発な議論

核兵器禁止条約の主な側面に関しては、かなりのレベルの収束が見られた。にもかかわらず、議論はきわめて活発で、とりわけ3週間にわたった第2会期では数多くの示唆や提案が示された。これらの示唆や提案は実際上、条約のあらゆる側面に亘っていたが、とりわけ、禁止の範囲、検証の手段、締約国による宣言、締約国会議、他の協定との関係、平和利用、脱退の期間と条件が問題となっていた。

決議71/258の起草と採択を推進したオーストリア、ブラジル、アイルランド、メキシコ、ナイジェリア、南アフリカ共和国の諸国は、交渉会議の作業に積極的に参加した。実際には、参加した全ての国の代表が、建設的な見解と提案でもって議論に加わったが、とりわけ、アルジェリア、アルゼンチン、チリ、キューバ、エクアドル、エジプト、バチカン、グアテマラ、リヒテンシュタイン、インドネシア、イラン、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、スウェーデン、スイス、タイを挙げることができる。

核兵器保有国とその同盟国の中では、オランダだけが唯一、会議に代表を送った。作業の開始にあたって、同国の代表は、北大西洋条約機構(NATO)の下でのオランダの義務、あるいは、核兵器不拡散条約(NPT)の下での公約と矛盾するいかなる文言にも合意することはできない、と述べ、審議とその後の反対投票に際して、自らの立場を説明した。

一部の代表らは、賛成票を投じた説明として、条約案の文言には欠陥があると指摘しつつも、国際法において核兵器に対する明確な拒絶を成文化することがまずもって重要であることから、条約案を支持することに決めた、と述べた。

条約案の多くの側面について綿密な議論が積み重ねられた。全てを網羅したわけではないが、次に挙げる例は、交渉会議における議論の幅と実質的な深さについての感覚を把握するには十分であろう。

a) 一部の国が「平和目的をもって核エネルギーの研究、生産、使用を進める不可譲の権利」に言及することについて疑問を呈したが、最終案には残された。

b)核兵器の準備、通過、資金提供を明確に禁止する条項を含むよう要求する国々もあれば、これらは、「禁止されている活動への関与を『援助し、奨励し、または勧誘する』ことの禁止」として条約案に既に含まれているとみなす国々もあった。

c) 追加議定書のような、より厳格な検証基準を主張する国もあった。また、一部の見方では、「核兵器計画」の表現には定義が必要だとされた。

d) 核兵器を保有する国家や、領土内にその配備を認めている国による加盟については、条約第4条に比較的詳細に書きこまれているが、これが長い議論の対象になり、最終的には、「加盟してから核を廃棄する」オプションを一般的に容認するとの見方から、必要な条項だとされた。

e) 他国の領土に配備されている核兵器の除去に明確な時限が設けられなかったこと(第4条4項)に失望する向きもあったが、「可及的速やかに」との表現には満足が得られたようだ。しかし、この要件の遵守を検証する独立した仕組みは存在しない。

f) 他の協定との関係の問題も、議論が重ねられた。包括的核実験禁止条約(CTBT)が未発効であることへの言及を含めるべきとの提案は一定の支持を集めたが、支配的にはならなかった。

g) 一部の国は、有効期間および脱退に関する第17条の最終草案を批判し、国家の「至高の利益」を危うくしている「異常な事態」への言及を明確に削除するよう要求した。また、この問題に関する条約法に関するウィーン条約に照らして、脱退に関する言及を削除することが望ましいとの意見もあった。最終的には、第17条3項に採択された形で意見の一致に達した。それによれば、寄託者が脱退の通告を受領した後、12カ月で効力を生ずるが、12カ月の期間が満了した時点において、当該締約国が武力紛争の当事国である場合、その紛争当事国でなくなるまで、この条約およびあらゆる追加議定書の義務に引き続き拘束されるとの但し書きが付いた。

交渉会議の最終結果が示す通り、参加者の圧倒的多数が、核兵器禁止条約の採択につながったこのプロセスの結果に間違いなく満足している。ひとたびこの条約が発効すれば、化学兵器生物兵器、核兵器という同一区分として一般に認められている3つすべての大量破壊兵器が、国際法の下で禁止された状態になる。多くの参加者が、国連総会が1946年1月1日に決議第1号を採択した70年前に、核軍縮実現に向けた取り組みが始まったと指摘している。

核兵器の絶対的拒絶

交渉会議のほとんどの参加者が、条約には欠陥や欠点があるものの、国際社会の大多数が、道徳的な立場及び核兵器の使用が人間や環境に与える影響の点から、核兵器に対する絶対的拒絶を実定国際法において初めて明確に表現したものであると認めている。また、核兵器禁止条約が、軍縮や不拡散、国際安全保障に関連した国際法の総体に対して加えられた歓迎すべきものであるという点でも一致している。

前例がないという特質もそうだが、核兵器禁止条約という主題の複雑さは、交渉に参加した国々が多くの困難を克服しなければならなかった点によく表れている。国連総会が2016年12月23年に採択した歴史的な国連総会決議71/258によるマンデートに従い、各国政府や非政府組織からの支援と実質的な貢献を受けて、核兵器の完全廃絶に導く禁止を定めた多国間の法的拘束力ある文書を妥結しようという圧倒的な意思が働いたことが、交渉会議の成功と、文案の採択にあたって決定的な要素となった。

全会一致にはならなかったが、唯一の反対票は核兵器保有国と軍事同盟を組むある一国によるものであった。この国は、会議のすべての会合に出席し、起草時の特定の提案も含めて、条約に関する見解を詳細に説明した。

このことは、核兵器を保有する国々や核兵器を使用する可能性を含む防衛協定を結んでいる国々も含めて、核軍縮関連の問題に対して世論の関心があるということを証明していると考えるべきである。また、関連する諸政府や市民団体が、取り組みを強化して核軍縮の必要性を世界の世論に示す必要性を改めて思い起こさせるものと言ってもよいだろう。

核兵器禁止条約が幅広く受け入れられるという望ましい目標を達成するには、まだ多くのことがなされねばならない。この歴史的な取り組みに参加した全ての人々は、この条約だけで一夜にして核軍縮が実現されることはないが、その方向に向かう、重要かつ必要であり、意義ある具体的な第一歩であると考えている。

核兵器禁止条約の起草と採択に協力した政府組織や非政府組織・機関とともに、市民社会には、今回の成果に関する知識を広げ、核兵器の存在がもたらすリスクと、その使用がもたらす壊滅的かつ受け入れがたい帰結について世界的に意識を高める上で、不可欠の役割を担っている。この条約の目的と目標を完全に実現するためには、安全保障のために核兵器に依然として依存している国々を含め、あらゆる場所で世論の支持を得ることが、必要不可欠である。(7.10.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

※セルジオ・ドゥアルテは、国連軍縮問題担当上級代表(2007~12)。核不拡散条約第7回締約国運用検討会議(2005年)議長。職業外交官としてブラジル外務省に48年間勤務。オーストリア、クロアチア、スロバキア及びスロベニア、中国、カナダ、ニカラグアでブラジル大使を務める。また、スイス、米国、アルゼンチン、ローマにも駐在した。

 

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