Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.

A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status 
with ECOSOC.

 

What After the Adoption of the UN Nuclear Weapons Ban Treaty

|視点|核兵器禁止条約のあとに来るもの(スージー・スナイダーPAX核軍縮プログラム・マネージャー)

【ユトレヒト(オランダ)IDN=スージー・スナイダー】

Susi Snyder ついに核兵器が禁止され、違法化された。ほとんど信じられない思いだ。核兵器は、それが元々あった場所へ、つまり歴史のゴミ箱送りになったのだ。2017年7月7日からは、新しい現実が生まれた。核兵器を製造し、保有し、取得し、使用することを違法化する条約ができたのだ。しかし、核兵器禁止に向けた次のステップは何だろうか?

条約そのものがまずもって答えを与えてくれる。9月20日、核兵器禁止条約はニューヨークの国連本部で署名開放され、諸国は国別の批准手続きに入る。そして50番目の国が批准してから3カ月後に条約は発効し、批准したすべての国に関して法的拘束力を持つことになる。

原則的には、条約が発効する前の段階でも規範的な効果はもちうる。包括的核実験禁止条約(CTBT)のことを考えてみるとよい。署名開放されてから既に20年以上経過したが、CTBTは未だに発効していない。それでも、いついかなる国が核実験を計画したり、(北朝鮮の場合のように)核実験を実施したりしようものなら、国際社会はそれに反応し、非難し、制裁を科すようになっている。すなわち、核兵器禁止条約の禁止対象項目に関する規範を構築していくことが、次のステップだ。

数十年にわたって、核兵器をめぐる言説を変える(核兵器を非道徳的で正当化できないものだという烙印を押す)試みがなされてきた。そして今や、核兵器を法的に非合法化する新しいツール(=禁止条約)が登場したことで、こうした努力は裏づけを得たことになる。今日、私たちが核兵器活動について語る際、それは国際条約によって禁止されているものだと指摘できるようになった。

それでは、この新たな禁止条約ははたしてどのような影響力を持ちうるのだろうか? また、核兵器を地球上から除去するために、この条約をどのようにテコとして用いることができるのだろうか?

国内における法制化

締結国には、核兵器禁止条約を批准するために国内において法制化を進める義務がある。条約第5条は、条約で禁止された活動を予防・抑止するために、罰則の設置を含む、法的、行政的、その他の措置を採るように義務づけている。締結国はまた、国内における法制化を進めるにあたって、核兵器を悪とみなす規範を基礎として、条約の諸条項をさらに深め、条約に関する理解を発展させ法制化するための要素を取り入れていく可能性がある。例えば、核兵器製造企業への資金供給を禁止するといったことである。

国内における法制化にあたって、核兵器製造企業への資金供給を明確に禁止する条項を含めることで、条約第1条の「援助」条項について、金融部門がいかに対応すべきかが明確になってくるだろう。条約が持つ、こうした「シグナルを送る」機能は、金融機関にとって重要なものだ。金融部門の多くは現在のところ、核不拡散条約(NPT)を、核兵器の主要部品を生産する企業への投資を継続する理由として利用している。こうした企業は、一部の国が核兵器を保有することは問題ないと主張するが、新しい現実の中でこれは全く通用しないものとなった。

金融機関は、企業が核兵器の主要部品を生産できるよう不可欠かつ必要な支援を与えている。ほとんどの核保有国は、核兵器の生産・維持・近代化について、民間企業に依存している。公表された文書によれば、少なくとも、フランス・インド・イスラエル・英国・米国においては、核戦力の維持に民間企業が関与している。

金融機関が核兵器の生産に関与している企業に投資する場合、核兵器が使用される可能性と殺傷能力を一層高めるプロジェクトに必要な融資を行うことになる。これを違法化することは可能であり、新条約の批准手続きは、それを実施する最高の機会を与えている。

過去の経験を見ると、各国政府は一般的な資金調達を、自国の文脈において効果的に禁止できる立場にある。例えばPAXの調査によると、クラスター爆弾への投資を禁ずる国内法を整備した国は10カ国にのぼっている。これは、クラスター爆弾禁止条約における「援助」条項によって禁止されていると理解されたものだ。

一部の国は、核兵器に対する投資に関しても既に同じ措置を採っている。オーストラリアとニュージーランドでは、世界のどこであれ、個人あるいは企業が核兵器の製造に加担することを犯罪としている。両国では、資金の貸与も含めて、何らかのサービスの提供が大量破壊兵器プログラムに寄与するとの合理的な疑いがある場合には、そうしたサービスを行うことを企業に禁止している。スイスでは、戦争資材法により、核兵器生産者への直接投資を禁止している。リヒテンシュタインでも同じような法律が施行されている。

核兵器禁止条約の「援助」条項を深めるものとして、条約批准プロセスにおいて資金供給の禁止を実行することで、締約国は、国連安保理決議1540から、テロ資金供与防止条約に至るまで、資金供給に関する既存の禁止や制限の下での義務をより強化することができるだろう。さらに、こうした実践例は締約国会議で共有することが可能であるし、もし各国がそれを選択するのであれば、履行措置に関する支援を要請したり提供したりすることも可能であろう。

違法な兵器から利益を得ない

資金供給に対する既存の禁止措置は、禁止行為への関与が疑われる企業が生産する他の製品の購入まで制限するものではないことを認識することが重要だ。実際的な言い方をするならば、資金供給の禁止は、あらゆる種類の投資と融資に適用される。例えば、民間融資、投資銀行サービス(債券の引き受けや株式の発行)、株式保有などの資産管理活動が含まれる。

「資金供給の禁止」は、核兵器製造企業をボイコットすることまでも要求しているのではない。単に、核兵器への投資を禁じるだけだ。融資と投資は、利益を生む目的でなされるものだ。従って、核兵器製造企業に投資するということは、核兵器製造を支援する一形態であるにとどまらず、非人道的な帰結ゆえに禁止されている行為から利益を得ることを意味するのだ。

次の動きは?

核兵器禁止条約に関して次の動きはどうなるのかを考えた時、条約の発効と各国の批准促進が、道筋として明確に浮かび上がってくる。この中で、禁止行為が「違法なもの」であると明確に名指し語っていくこと、金融機関が核兵器製造から利益を得ないようにさせるべく「援助」条項を発展させていくことが必要だ。世界の諸国の過半数は、明白に核兵器を拒絶している。今こそ、その拒絶にさらなる力を与えるために努力が必要な時だ。(7.17.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

スージー・スナイダーは、PAX(オランダ)の核軍縮プログラム責任者。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員。2016年の核のない未来賞受賞者。以前には、婦人国際平和自由連盟(WILPF)の事務局長も務めたことがある。