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Iceland, Norway Debate UN Nuclear Weapons Ban Treaty

アイスランド、ノルウェーで核兵器禁止条約が議論される

【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】

 A candle-floating ceremony in memory of Hiroshima and Nagasaki in which three officials of the Japanese embassy in Reykjavik participated. One of the speakers said there was now a great need for the Icelandic peace movement to encourage the Icelandic government to sign and ratify the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons. Credit: Lowana Veal | IDN-INPS人口34万4000人のアイスランドは独自の軍事力を保持していないが、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国として、7月7日に採択された、画期的なものになりうる核兵器禁止条約に関する議論に参加しなかった。

グドゥロイグル・トール・トールダルソン外相は、条約交渉会議の開始以前に、「核不拡散条約(NPT)があまり成功を収めていないことから、核兵器禁止の議論にアイスランドは加わるのか?」とのスタイナン・トーラ・アルナドティール議員(左翼緑の党)からの質問に議会で答弁している。

トールダルソン外相はこれに対して、「他のNATO諸国と同じく、アイスランドは核兵器国が軍縮プロセスに加わることが必要だと考えているが、交渉会議では明らかに核兵器国が参加しそうにない。」と答えた。

「他方で、この問題に関してはプロセスが遅々として進まず、安全保障問題に関して多くのあまりよくない予兆もある…これは、核兵器なき世界という目標に関するものではなく、この目標に向けた手段に関するものだ。我々はここで問題とされている手段が好ましいものとは思わない。」とトールダルソン外相は説明した。

「さらに、わが国の国連大使は、この問題の進展を注意深く見守ることになるだろう。」とも述べた。

アイスランド大学の歴史学教授で、同行の平和団体「軍事基地反対運動」の元議長でもあるスヴェリール・ヤコブソン氏は、トールダルソン外相の発言を厳しく批判した。「こうした国々(NATO諸国)は実際には、核兵器をいつ、そしてどのように廃絶すべきかについては、彼らだけに決定権があるという立場にあるかにみえる。もしこれが目的の問題ならば、核廃絶を支持する大多数の国々の提案に対して、なぜ核兵器国が代案を出さないのだろうか?」とヤコブソン氏は指摘した。

核兵器禁止条約の採択後、トールダルソン外相はこう述べた。「核兵器に対するアイスランドの立場は明瞭だ。目的は『核兵器なき世界』であるべきであり、核兵器は体系的で相互的な形で廃棄されねばならない、というものだ。これを実現するもっとも現実的なやり方、そしてまた、我々がもっとも効果的であると考えるやり方は、核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)のような、すでに存在する合意やプロセスに依拠する、というものだ。」

ある外務省関係者は、「NATO自身は『核兵器なき世界』という目標を2010年の戦略概念で掲げているが、同時に、核兵器が存在している間は、核兵器は抑止と防衛準備の一環であり続けると明確化している。トールダルソン外相は、これが防衛同盟の自然なあり方であるとしているが、同時に、NATO諸国は冷戦以来、核戦力を95%も削減していることが留意されねばならない。」と語っている。

これに対してヤコブソン氏は「米国の核戦力のほぼ全部が『近代化』されており、これは明らかにNPTに反するものだ。」とコメントしている。

トールダルソン外相は、122カ国が核兵器禁止条約を採択したあとにアイスランド国営放送が行ったインタビューの中で、「ニューヨークの国連本部で示された措置は現実的なものではない。」と語った。トールダルソン外相は、「核兵器が解体される際は、相互主義の原則に則ってなされるべきだ。NATO加盟国やその他の国々が核兵器を解体した結果、例えば北朝鮮のような国々が唯一の核兵器保有国々として残るようなことがあってはならない。そのような事態を望ましいと考える人は誰もいないはずだ。」と語った。

「核廃絶に向けた努力をNATOが拒む理由が北朝鮮に関連しているとするならば、なぜNATOは、北朝鮮やその他の国に対して核兵器を先制的に使用しないとの確約をしないのか? 北朝鮮について様々な意見があるにせよ、提示されてもいない提案を拒否したことで非難される言われはない。朝鮮半島における最近の緊張の高まりは、両側から炊き付けられているものだ。例えば、米国は韓国にミサイル防衛システム「THAAD」を配備する決定を下した(そしてまた、ミサイル防衛計画全体がNPTに違反するものだと論じることも可能だ。というのも、唯一考えられるその目的は、反撃される恐れなしに核攻撃を加える能力を得ることにあるからだ)。」とヤコブソン氏は指摘した。

アイスランドは、独自の軍隊を保持していないが、イラク侵攻の際には有志連合に参加している。また、様々な国連平和維持活動にも要員を送っており、現在アフガニスタンでも、アイスランド人一名が、NATO報道官として活動している。NATOは定期的に、アイスランドで航空警備作戦を実施している。

アイスランドは、最近の海軍演習「バルトップス」(BALTIC OPERATIONS、6月1~16日)に参加しなかった北欧で唯一の国だ。これは、参加国に高度な訓練を行うことを目的とした多国間の年次海上演習である。今年は14カ国(ベルギー、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ラトビア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、英国、米国。それに加えて、NATOの「強化機会パートナー(Enhanced Opportunities Partners)」であるフィンランドとスウェーデン)が参加した。

ノルウェーもまた、NATOに参加する北欧諸国のひとつである。2016年、ノルウェーは、(ボルゲ・ブレンデ外相がいうところの)「圧倒的多数の支持を受けた」軍縮の検証に関する決議を国連総会に提案した。ブレンデ外相は「検証に向けた我々の取り組みは、核兵器ネットワークの将来的な削減に向けた下準備を行う上で不可欠なものだ」と、同国紙に核兵器禁止条約に関するノルウェー政府の立場を表明した寄稿文の中で述べている。

「NATOの核抑止を一方的に引っ込めるだけでは我々の安全保障を強化することにならず、戦略的な不安定さにつながってきた。オランダは交渉会議に参加したが、新条約は、NATOに加盟する同国の立場と折り合わないとの結論に達した。ノルウェーが、唯一のNATO加盟国として、禁止条約に加わることがあるとすれば、ほぼ70年にわたって我々に安全を与えてきた共通の同盟安全保障政策から距離を取ることを意味する。それは無責任な判断だと言わざるを得ない。」というのが、ブレンデ外相の見解である。

しかし、ヤコブソン氏は、「NATOに一方的軍縮を進めろとは誰も言っていない。ただ、軍縮に向けた方向で何らかの措置を採ってほしいと言っているだけなのだが、NATOはそれを拒否しているのだ。核兵器は多くの点で特異なものだ。たとえば、使用すれば、間違いなく、大規模な殺戮を引きおこす。この数年にも、核兵器を保有する攻撃的な国々によって引き起こされたものも含めて数多くの戦争があった。」と語った。

「核兵器禁止のために活用されている論理は、禁止条約が核兵器を非正当化するというものだ。他の軍縮プロセスやその効果と比較して論じる人もいる。核兵器はその抑止効果において特異なものであり、他の兵器と比較することは不可能だ。まったく異なった戦略的、政治的意味合いがあり、長崎以降、使用されたことがない兵器である。この敷居は維持されるべきだ。」とブレンデ外相は続けた。

ヤコブソン氏はこうした外相の意見に反論して、「これもまた巧妙な議論だ。核兵器はたしかに多くの点で特異なものだ。たとえば、使用すれば間違いなく、大規模な殺戮を引きおこす。しかしその抑止効果には疑問を付すことができる。この70年間、戦争を予防することがなかったからだ。」と語った。

ブレンデ外相の政治顧問のひとりであるマリット・ベルゲル・ロスランド副大臣は、「何が問題なのか?」と問うたICANノルウェー支部のアンネ・マッテ・スカラン氏に反論する寄稿文を書いている。ロスランド副大臣は、「7月7日にニューヨークの国連で交渉された条約には、NPTへの加盟、あるいは、より強力な管理メカニズムを持った国際原子力機関(IAEA)付属議定書への加入が要件とされていない問題がある。これでは、既存のグローバルな核不拡散体制を損ないかねない。」と指摘した。

スカラン氏の疑問は、ノルウェーの日刊紙『クラッセコンペン』に掲載された書簡の一部であった。彼女は続けてこう記している。「ブレンデ氏は、核兵器国が参加していないという事実だけに着目している。それよりも、何が正しく何が間違っているかということについて、以前は声を聴いてもらえなかったプレーヤーたちが場所を占め、力を握り、基準を設定したというところに価値を見出してもらいたいものだ。歴史は、変化が起きる時には、権力や正統性、特権を失った者が抵抗することを示している。しかし、結果的には、それが普通になるのだ。結果的には、新しい規範が確立され、受け容れられるのだ。」(8.23.2017) INPS Japan/ IDN-InDepth News