Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.

A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status 
with ECOSOC.

 

Miles to Go Before the U.S. and Russia Move the World Further from the Brink of Nuclear Catastrophe

世界が核兵器の淵から動くにはまだ時間がかかる

Image: The US-Russia arms race. Source: china.org.cn【ベルリンIDN=アール・ジェイ・ペルシウス】

米国のジョー・バイデン大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領は、6月16日にジュネーブで開いたサミットで、「核兵器に勝者はなく、戦われてはならない」とするロナルド・レーガン大統領とソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフが1985年に合意した原則を再確認した。両大統領はまた、「将来的な軍備管理とリスク軽減措置に向けた下準備をするため」の強力な「戦略的安定」対話を行うことを決めた。

しかし、2017年のノーベル賞受賞団体「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が指摘するように、「ジュネーブサミットの結果は、現在の核のリスクの重大さを反映したものになっていない。」プーチン、バイデン両大統領は「核兵器禁止条約や世界の世論に従って自国の「核戦力を削減する公約を何ら行っていない」とICANは述べた。

 

ロシア(保有数6255発)と米国(5500発)は世界全体の9割の核兵器を保有しており、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、1945年8月に広島に投下された核兵器よりもはるかに強力な核兵器が世界には約1万4000発も存在するという。他の核兵器国は、英国・フランス・中国・インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮である。その他31カ国が、核兵器の存在を是認している。

「軍備管理協会」のダリル・G・キンボール事務局長は、ジュネーブサミットのコミュニケは、「内容が穏健で遅きに失したものではあるが、現状は危険であり持続不可能であるとの明確な認識を示したものだ」との見解を示した。それは、世界を核の破滅の淵から救う軌道修正をするチャンスを提示している。

6月16日の会合に続いて発表された戦略的安定に関する共同声明で、米大統領とロシアのプーチン大統領はさらに、「戦略的安定対話は、『総合的に』『よく考えられた』『強固なもの』になるだろう。」と述べた。しかし、それぞれの当事者がどの程度歩み寄るかは不透明だ。米ロ両国は来たる戦略的安定対話に異なった思惑を込めている模様だ。

バイデン大統領は、この対話は「反応時間を短くし、偶発的戦争の可能性を高める危険で先進的な新型兵器が現れてきており、その規制につながるようなメカニズムについて話し合うもの。」だと述べたが、どの特定の兵器を念頭に置いているのかについては触れなかった。

両大統領は、対話の日程や場所はまだ決まっていないが、米国務省と、ロシア外務省によって間もなく決定されることになる。

軍備管理協会のキングストン・ライフ氏、シャノン・ブゴス氏、ホリス・ラマー氏は、6月22日の「カーネギー国際核政策会議」におけるロシアのセルゲイ・リャブコフ副外相の発言に注意を促している。同氏は、ロシア政府は米国に対して「第一歩として、互いの安全保障上の懸念について共同で検討すること」を提案した、と発言している。

次のステップは「この懸念に対処する方法を検討すること」であり、「結果として、実際的な協定や取決めにつながる交渉への関与を促す」ような合意された枠組みが目標になるという。

重要なことは、ジュネーブサミットの共同声明が、10年に及ぶ停滞の末に核軍備管理の分野で進展をもたらす長いプロセスの第一歩を記したということだ。世界最大の核大国間の最後の軍備管理協定があと5年で失効するだけに、なおさらだ。

前回の戦略的安定対話はトランプ政権下の2020年8月に行われており、新戦略兵器削減条約(新START)の失効が翌年2月に迫っていた。しかし、条約失効2日前に、バイデンとプーチン両大統領は、新STARTを2026年まで延長することを決めたのであった。

2020年6月の戦略的安定対話においては、米ロ両国が3つの作業部会を立ち上げることを決め、同年7月に会合が持たれた。米政府筋は当時、作業部会のテーマは、核弾頭・ドクトリン、検証、宇宙システムの3つであるとしていた。

それ以降、これらの作業部会が活動してきたかどうかははっきりしない。

軍備管理の専門家は、戦略的安定対話は、新STARTの後継となる軍備管理協定に関する協議とは別物であるとしつつも、そうした正式な後続協議の基礎を築くことにはなるかもしれない、としている。

米政府で新STARTの交渉責任者であったローズ・ゴットモーラー氏は、6月14日の『Politico』紙への寄稿で、戦略的安定対話の目標は「条約よりも、むしろ充実した議論でなくてはならない。もちろん、のちには、相互理解と信頼、予測可能性を築くための何らかの措置に両者が合意するかもしれないが。」と述べている。

新STARTに替わる今後の協議に関してゴットモーラー氏は、米ロ首脳に対して「新条約が何を対象とし、いつまでに協議を終わらせるかについて、明確かつ簡潔な指針を示すべきだ。」と促した。

「軍備管理協会」は、バイデン政権は「両国が直面している極めて複雑な一連の核戦力問題」について議論することを目指しているとする、ジェイク・サリバン国家安全保障問題顧問の6月10日の発言に注目している。その問題とは例えば、新STARTの後継条約はどうなるのか、中距離核戦力(INF)全廃条約がもはや存在しないという事実をどう考えるか、ロシアの新核兵器システムに関する我々の懸念にどう対処するか、といったことである。

1987年に署名されたINF全廃条約によって、米ソが保有する射程500~5500キロの核搭載及び通常型の地上発射及び巡航ミサイルが2692基廃棄された。

米国政府は、ロシアの非戦略核兵器の問題に対処し、中国を軍備管理プロセスに巻き込みたいとの意向を表明している。サリバン氏は「宇宙やサイバーといった領域において戦略的安定対話に新しい要素が持ち込まれるかどうかは、今後の成り行きによって決まってくるだろう。」と述べている。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は6月9日、「戦略的安定に影響を与えるどんな問題でも対話の対象となる」と述べた。例えば、「核兵器、非核兵器、攻撃的兵器、防御的兵器」がそこには含まれるという。加えて、ロシアは、中国だけではなくフランスや英国も協議に含めるよう提案しているという。

リャブコフ副外相は6月22日の「カーネギー国際核政策会議」で、「両者は、必要とあらば、異なったステータスの相互に関連した取決め或いは協定を採択することを決定するかもしれない。さらに、他の主体が参加する余地を残すための要素を検討することも可能かもしれない。」と語った。

中国の趙立堅外交部報道官は、ジュネーブサミット翌日の17日、「中国は、戦略的安定に関する二国間対話における関与に関して米ロ間で成された合意を歓迎する」と述べた。

趙報道官は「中国は常に核軍備管理における国際的な取り組みを積極的に支持してきた。また、5つの核兵器国の協力メカニズムやジュネーブ軍縮会議、国連総会第一委員会といった枠組みの中で、関連する主体とともに、戦略的安定に影響のある幅広い問題について議論を継続していきたいと考えている」と約束した。

さらに趙報道官は「相互の尊重をもって、平等な立場であるのならば、関連する主体と二国間対話をもつ用意は我々の側にはある」と述べた。この数日前、中国の王毅外相は5核兵器国に対して、「核戦争に勝者はおらず、戦われてはならない」とするレーガン=ゴルバチョフの原則を再確認するよう訴えていた。(07.01.2021) INPS Japan/ IDN-InDepth News