Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.

A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status 
with ECOSOC.

 

Kazakh and Japan Go ‘Aggressive’ for Entry into Force of Nuclear Test-Ban Treaty - Japanese

カザフスタン・日本、核実験禁止条約発効に向け「攻勢」へ

【国連IDN=ファビオラ・オルティス、2015年9月30日】

国連が創立100年を迎える「2045年までに核兵器なき世界を実現するという目標を達成すべく、より果敢に取り組んでいきたい。」と中央アジアのカザフスタン共和国のエルラン・イドリソフ外相が宣言した。

イドリソフ外相の発言は、29日にニューヨークの国連本部で開催された第9回「包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進閣僚会議」でのことである。

日本の岸田文雄外相と共同議長を務めたイドリソフ外相は、各国の代表に対して、法的拘束力のある核実験禁止実現を追求するにあたっては「遠慮なく、時には外交儀礼をかなぐり捨てる姿勢すら辞さない」であろうと指摘したうえで、「両国(カザフスタンと日本)は、核兵器を廃絶することに関しては挑戦的になる道義的権利があります。」と語った。

共同議長の岸田外相は、核兵器廃絶へ向けた国際社会の取り組みの中で、被爆国である日本が歴史的役割と義務を担っていることを強調するとともに、広島・長崎への原爆投下から70年という節目と、核爆弾の生存者(ヒバクシャ)の経験に言及した。

会議には、批准国の外相が多数参加したのに加え、欧州連合フェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表、デズモンド・ブラウン元英国防相、日本原子力委員会委員の阿部信泰大使、アンゲラ・ケイン前国連軍縮問題高等代表、CTBTOのウォルフガング・ホフマン名誉事務局長など「賢人グループ」(GEM: Group of Eminent Persons)のメンバーも参加した。

CTBTの関連条項にちなんで「第14条会議」とも称されるこの会議では最終宣言が採択され、「普遍的で効果的に検証可能な条約は、国際的な核軍縮及び核不拡散体制の中核を成す要素である」ことが確認された。

ローマカトリック教会のフランシスコ法王はこうした熱烈なアピールを支持している。25日には国連総会で「核兵器なき世界に向けて行動する緊急の必要があります。」と各国代表らに対して演説した。

国連の潘基文事務総長は会議の開会にあたり、「CTBTは核兵器なき世界という私たちのビジョンの実現にとって極めて重要であり、国際社会がこれ以上核兵器の影の下で生きることを余儀なくされないようにするものです。」

潘事務総長はまた、「CTBT準備委員会の元議長として、私は個人的に、この条約の発効のためにあらゆる努力を払いたいと思っています。」と公約するとともに、自らの名前が「BAN」(「禁止する」という意味の英語)と綴ることに引っ掛けて、「私はあらゆる核実験を禁止する(BAN)決意です。」と冗談めかして語った。

CTBTO準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長はIDNの取材に対して、「条約発効のためにより多くのことがなされ、各加盟国が真のリーダーシップを発揮することを強く希望しています。」「2016年は、CTBTが署名開放されてから20年目になります。しかしこれは祝福すべきことではありません。なぜなら20年経っても、未だに条約発効促進のために第14条で定められた会議をこうして開催しなければならないからです。」と語った。

包括的核実験禁止条約は1996年に署名開放され、核兵器の開発に制約を課すと同時に、世界全体で全ての核爆発実験を禁止している。

しかし、8か国がまだ署名・批准していないために、条約は発効していない。その8か国とは、中国、エジプト、インド、イラン、イスラエル、パキスタン、米国、朝鮮民主主義人民共和国である。これらは、1990年代の条約最終交渉時において核技術を持っていた44か国のリストに含まれる国々である。

CTBTは、多数の監視施設から成るグローバルネットワークを構築し、世界のいかなる場所においても疑わしい事象に対する現地査察を容認している。取り決め全体は、前文、17の条項、2つの附属書、検証手続きについて定めた議定書から成っている。

イドリソフ外相は、「ソ連が崩壊してカザフスタンが独立した24年前、わが国には1400発の核兵器と核実験場があり、生物兵器・化学兵器の生産施設も存在しました。」と語った。

イドリソフ外相はまた、「独立後最初の10年で、カザフスタンはすべてのソ連の兵器システム・施設を解体することを決意し、重要な核不拡散条約署名の先頭に立ちました。」「世界をより安全な場所にすると決意し、その決断は他国の刺激になりました。核兵器なき世界の達成は困難な任務です。歴史の浅い国として、わが国は全ての国々が軍縮に向かうための良き刺激になりたいと考えています。日本とカザフスタンは、核兵器という軍事主義がもたらす最も醜悪な影響を被りました。カザフスタンで実施された500回におよぶ核実験は、この種の兵器がもたらす最も破壊的な危険性を思い起こさせるものです。」と語った。

会議の共同議長である日本の岸田外相は、広島(同氏の出身地)と長崎への原爆投下から70年にあたることを想起した。

岸田外相は、「核実験の禁止は核軍縮の効果的な柱のひとつであり、CTBTは核実験禁止という規範を強化するのに貢献してきました。条約の早期発効に向けて私たちの取組みを強化しなくてはなりません。」を語った。

岸田外相はまた、「国際監視制度(IMS)の完成に向けた更なる構築を促進し、中でも同制度を支える各国の国内データセンター要員養成のための支援を促進することが重要です。」と語った。

IMSは、条約遵守を検証し、条約違反を探知・確認する世界大のネットワークである。今日、IMSは8割完成しており、254の監視ステーションからなる。放射性核種研究所16か所のうち、10か所がすでに認証されている。

CTBTの実行ための必要な準備を進めるために、包括的核実験禁止条約(CTBTO)準備委員会が1996年にウィーンに設置されている。

ゼルボ事務局長は、より「果敢なアプローチ」が必要だというカザフ外相と同意見だ。「条約を完成させて、通常の外交的手法、すなわち、すべての国に批准を呼びかけ、2年間待ち、また同じようなレトリックを繰り返すといった現状を打破することができるように、建設的で果敢なやり方で行動することを望んでいます。国際社会には、具体的な行動計画と、達成すべきことについての明確なスケジュールが必要です。」とゼルボ事務局長は付け加えた。

CTBTO準備委員会は、すべての国が条約を批准した際に創設されるものとされている。しかし、ゼルボ事務局長は、かりに組織が公的には創設されていないとしても、すでに、あたかも組織が存在するかのごとく機能しているという。

「私たちは、効果的に機能している400人以上の集団です。人々に関与し、納税者のお金を使わせてもらい、国際監視制度のようなインフラを構築した上で、条約発効への準備ができていない、とは言えないでしょう。」とゼルボ事務局長は語った。

ゼルボ事務局長は、CTBTO準備委が北朝鮮の核実験を探知した2006年が画期の年であったと考えている。「私たちは国際社会に対して、効率的に核爆発実験を探知できることを証明しました。この取り決めの下で必要とされるもの、すなわちデータを諸国に効果的に提供する枠組みがあり、私たちの情報提供によって、いかなる核爆発実験も探知されずに行われることはないことを示したのです。」

CTBT賢人グループの一員で「核脅威イニシアチブ」の副議長を務めるデズ・ブラウン氏によると、その答えは依然として政治の中にあるという。米国はCTBTの最初の署名国となり(1996年9月24日)、条約を推進した国のひとつであったが、国内政治のために未だに批准が済んでいない。

「またいくつかの障害は国際政治に関係している。中国の場合、米国が批准したらその直後に中国も批准するとの意思を鮮明にしている。もし中東諸国の抵抗を排することができたなら、(批准)は芋づる式に発生するかもしれません。同じことは、インドとパキスタンの場合にも言えます。つまり地域政治が密接に関係しているのです。」とブラウン氏はIDNの取材に対して語った。

米国のアントニー・ブリンケン国務副長官は、「オバマ政権がCTBTを推進して上院からの批准を求める政策に変わりはありません。」と指摘したうえで、「明確かつ説得力のある証拠を見れば、包括的核実験禁止条約を発効することが米国の安全保障にとっても、国際安全保障にとってもよいことであると考えています。この条約は、核兵器への依存を減らし、核軍拡競争のリスクを減ずる重要な一歩です。」と語った。

ブリンケン副長官はまた、「米国は条約にコミットし続けており、批准が必要だとの訴えを国内で積極的に行っています。他の国々もまた、批准を追求し、どうすれば批准できるかについての計画を明確にすべきで、他の国がどうするかを待つ理由はありません。CTBTは理論的な世界に関する抽象的な概念ではありません。それは、自らの市民にとっての、そして、世界の民衆に対しての、平和と安全をもたらす明確かつ確実なステップなのです。」と付け加えた。

世界の歴史は、核兵器が人間の健康と環境に影響を及ぼす破壊的かつ無差別的なものであることを証明している。日本の原子力委員会委員長代理でありCTBT賢人グループの一員でもある阿部信泰氏は、「民衆はこの種の兵器は今後二度と使われてはならないと理解しています。」と指摘した。

「もし米国がよく考え、自国にとっての長期的な利益を考えるならば、CTBT批准を支持すべきです。なぜなら核兵器はほぼ使用が不可能だからです。それでは、なぜ核実験を続けなければならないのでしょう? 米国はもはや核実験を行う必要がないのです。彼らはすでに1000回も核実験を行ってきました。これは、各国の中で最大の数です。時代は変わったのです。核兵器は、無駄で、使いようのない資産になってしまうでしょう。」と阿部氏は語った。

核実験と核兵器のない世界は2045年までに実現可能だと、デズ・ブラウン氏は考えている。30年前、米国のロナルド・レーガン大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長との会談で、すべての弾道ミサイルを禁止することが提案された。会談が行われたのは1986年のことだ。

ブラウン氏はこう主張している。「その10分間、両首脳は核兵器なき世界の可能性を開きました。個人的には、現在の政治状況はステップ・バイ・ステップでなければならないと思いますが、それでも可能ではあります。それは、思いがけず起こるものですし、物事は急激に変わりうるものです。これまでの私たちの取り組みが失敗だったとは思っていません。」とブラウン氏は語った。(9.30.2015)  IPS Japan/ IDN InDepth News