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Nuke Disarmament Groups Ask Obama and Putin to ‘Reduce Nuclear Risks’ - Japanese

核軍縮団体が米ロ首脳に「核兵器が使用されるリスクを軽減する」よう求める

 【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

主な核軍縮団体が、9月下旬に英国への領空侵犯を阻止されたロシアのツポレフTu-160超音速戦略爆撃機が同国を攻撃し第三次世界大戦を引き起こす意図があったのではないかとする憶測を呼んでいることについて、重大な懸念を示すとともに、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と米国のバラク・オバマ大統領に対して、「核リスクを直ちに軽減することで合意する」よう強く求めた。

彼らは、米ロ首脳のほか、両国の議会関連委員会、国会議員並びに国防相、外相宛に提出した書簡の中で、「北太平洋条約機構(NATO)軍とロシア軍が最近活発化している軍事演習中に万一衝突した場合に偶発的に引き起こされる可能性がある壊滅的な帰結(=核爆発)」について警告した。

10月7日に公開されたこの書簡は、9月に英国の領空を侵犯中にNATO軍機に通行を阻止されたロシアのツポレフTu-160超音速戦略爆撃機が、核爆弾を起動するためのカウントダウンを既に開始していたことが明らかになっている点を指摘している。

オーストラリアを拠点にする「人間の生存プロジェクト(HSP)」と「核軍縮を目指す会(PND)」がこの書簡作成にあたって調整を担当した。HSPは、シドニー大学平和・紛争研究センター(CPACS)とPNDの共同イニシアチブとして、2012年6月にCPACS内に設立された組織である。また、PNDは1960年以来、オーストラリアを中心に国際核軍縮運動の分野においても大きな存在感を示してきた団体である。

HSPとPDNは、「ロシア軍とNATO軍は最近多数の軍事演習を活発に展開しているが、それらは、反対側からみればあたかも「鏡像」のような動きを互いに極めて近い距離で行っているようなもの。」と指摘したうえで、「こうした演習には双方で核戦力が関与している疑いがあり、壊滅的な結果を招きかねない判断ミスがなされる可能性は明らかである。」と記している。

HSPとPNDが他の核軍縮団体の支援を得てとりまとめ提出したこの書簡以外にも、この数か月の間、様々な個人や団体がこの問題に焦点をあてた同様の趣旨の書簡を作成しており、その中には米国とロシアの核戦力の運用に責任を負ってきたジェームズ・カートライト将軍(前統合参謀本部副議長)やウラジミール・ドゥヴォルキン将軍も含まれている。

HSPとPNDがとりまとめたこの書簡には、1995年ノーベル平和賞の受賞団体である核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、世界の諸都市による連合組織である世界首長会議2020年ビジョンキャンペーン中堅国家構想(MPI)世界未来協議会(WFC)核時代平和財団、さらに世界各国の国会議員有志が署名している。

書簡には、「世界に備蓄されている核兵器の90%から95%を保有する米国とロシアが核兵器を使用すれば、僅か90分以内に私たちが『文明』と呼ぶ全てのものが完全に破壊しつくされることになる。」と記されており、署名者らは「世界が滅亡する」危険性を指摘している。

書簡にはまた、「核攻撃で人類の半数が居住する多くの都市が焼き尽くされると、壊滅的な気候変動を引き起こし、当初の紛争に関与していない国々にも甚大な影響を及ぼしながら、世界の気温は前回の氷河期のレベルを下回ることになる。」「つまり、核攻撃を生き延びた人々も核の冬がもたらす暗黒の闇のなかで餓死するか凍死することとなる。」と記されている。

核リスクを軽減する方策

書簡の署名者らが強く呼びかけている核リスクを軽減する方策とは、(1)核兵器の警戒レベルを引き下げること。これにより政策責任者らは不十分な情報に基づいて僅か数分という短い時間枠の中で全世界を完全に滅亡させる判断をする必要にもはや向き合わなくてもよくなる。(2)(核兵器の)発射記録を共有すること。そして、(3)挑発的な軍事演習や軍事姿勢を避けること、というものである。

書簡は、1点目を強調して、ニュージーランド、スイス、スウェーデン、チリ、マレーシア、ナイジェリアが提出した「核兵器体系の作戦即応性に関する決議」やインドが提出した「核戦争の危険を低減させることに関する決議」等、核兵器の警戒レベルを引き下げるよう強く要請した多くの国連総会決議に注目するよう求めている。

また書簡は、2点目について、1998年当時に情報交換センターを共同で設立するとした米ロ合意を想起している。この合意は、1995年に気象探査ロケットの打ち上げが米軍の潜水艦が発射した核弾道ミサイルとロシア軍に誤認され、米ロ間の衝突が一触即発の事態にまで発展した教訓を踏まえてのものだった。

書簡はさらに、3点目について、「一連の核体制に関する見直し、とりわけ『核の先制不使用』ドクトリンや、都市を核攻撃の標的から外す決定(先述の通り都市火災が核の冬を引き起こす黒煙の最大の発生源であることから)が、核の大惨事というリスクの大幅な低減に貢献することになるだろう。」と記している。

書簡の署名者らは米ロ首脳に対して、「米ロの元戦略ミサイル軍司令官のカートライト、ドヴォルキン両将軍をはじめ、IPPNWや、世界各地の宗教指導者が、ロシア軍とNATO軍間の緊張がエスカレートして制御不能に陥り壊滅的な結果を招く可能性について、警告とまでは言わないにしても、懸念が表明されていることについて、それに強く賛同し支持する。」と記している。

核兵器の警戒態勢を解く

事実、「警戒態勢の解除」(核兵器使用の命令が発せられてから実際に核ミサイルが発射されるまでの時間差を拡大する)に関するカートライト・ドヴォルキン両氏が主宰する「グローバルゼロ」による関連研究は、「ウクライナ危機を巡り、ロシアとNATO間の緊張関係は、核リスクが飛躍的に高まる核の瀬戸際政策へとさらに一歩近づいており、誤解に基づく軍事行動が相手側の軍事行動を誘発し事態が急激にエスカレートしていく危険なサイクルに至りつつある。」と分析している。

書簡の署名者らは、欧州安全保障協力機構(OSCE)議員会議が、OSCEを設立したヘルシンキ宣言採択40周年を記念して、「ロシアとNATO間の関係悪化に起因する核の脅威が増していることに深い懸念を表明するとともに、核兵器を保有或いは核の傘のもとにある全てのOSCE加盟国が、核の高度な警戒態勢を解除し、核の先制不使用政策を採用することで、核戦争発生のリスクを減らすよう要請する決議を採択した」点に留意した。

OSCE議員会議同様に、書簡の署名者らもウクライナ国境を巡る紛争の行方に深い危機感を募らせている。

「ここでリスクに晒されているのは、最悪の場合、文明そのものであり、潜在的に人類の存亡すら危ぶまれている。もちろん、『世界滅亡』に至る一連の出来事が必ず起こるとも、そうなる可能性が最も高いといっているわけではない。」

書簡の署名者らは、そのような事態が起こるのではなく、2014年のウクライナ危機に起因する様々な問題が、ロシアを含む全ての当事国間による平和的な交渉を通じて最終的に解決することを「願い、祈っている」。

しかし一方で、彼らは、(ロシアとNATO間の対立が)壊滅的な結果を招く可能性が全くないとは言えないと考えている。「歴史の記録、とりわけ(第一次世界大戦が始まった)1914年8月を振り返れば、たとえ各国の指導者らが情勢を完全に把握していると自信を持っていても、事態は思わぬ方向に展開し、当初の問題など比較にならない深刻な結果を招くことがあるということを、私たちは留意する必要があります。」

書簡にはさらに、「欧州リーダーシップネットワーク」が指摘しているように、(とりわけ軍の間における)対決的な態度や行動は、どちらが先に仕掛けたか、或いは、責任があるかに関わらず、いとも簡単に偶発的な紛争や壊滅的な惨事にまで発展する可能性がある。

「(バルト諸国のように)ロシア軍とNATO軍間の対立がさらに激化し、軍事紛争が長期化した場合、どこで対立が止まるか、或いは、紛争防止への努力が不十分ななか、(1914年の時のように)各国の思惑を超えた紛争へと発展するのを防げるかは予断を許さない。」

最も安全な核兵器とは、間違いなく、それが全く存在しない状態である。NGOはもとより、世界の政府や議会の大半は、核兵器の廃絶について、いつか達成すれば「良いこと」という程度の認識ではなく、人類の生存がかかった緊急の優先事項ととらえている。

このように、この書簡に署名した核軍縮団体は、核保有国に対して、核不拡散条約(NPT)が義務付けているように、人類の生存がかかった緊急の優先事項として、核兵器の完全廃絶に向けて行動をおこすよう強く求めている。(10.07.2015) IPS Japan/ IDN InDepth News