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Nuclear Weapon States’ Long Arm Seen Behind Deferral of Landmark UN Conference

「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」延期の裏に核保有国の影

【ニューヨークIDN=アラン・ウェア】

Photo: Security Council meeting on Maintenance of international peace and security, Nuclear non-proliferation and nuclear disarmament. Credit: UN Photo/Loey Felipe2018年5月14日は、「とりわけ核兵器に関する包括的条約を含め、核兵器の完全廃絶実現に向けた効果的な核軍縮措置」を討論するための3日間にわたる「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」の開会日となるはずであった。

国連総会は5年前、丸1日を費やすハイレベル会合を国連で毎年開催したのちに、2018年にこうした会議を開くことを決定していた。

2018年のハイレベル会議の重要性はこの5年で高まっていた。ロシア対北大西洋条約機構(NATO)、北朝鮮対米国、インド対パキスタンなど、核兵器が絡んだ対立は激しさを増し、『原子科学者紀要』が今年1月に「世界終末時計」の針を「真夜中(=人類の絶滅)まであと2分」に進めたほどであった。人類が核の終末にこれほど近づいたのは、1962年のキューバ核危機以来である。

米国がイラン核合意からの離脱を5月8日に発表したことで不確実性が増し、核をめぐる対立の火に油が注がれる結果となった。

(5月14~16日に予定されていた)ハイレベル会議は、世界の指導者らが核をめぐるこうした対立において、外交と核リスク削減を支援し、国連で2017年7月に非核保有国によって採択されたがまだ発効していない核兵器禁止条約のような核軍縮措置を前進させる強力な枠組みを提供するはずであった。

こうした会議が最も必要とされている正にその時に、会議は無期限延長されてしまったのである。

会議参加のためにニューヨーク行きの航空券をすでに押さえていた多くの市民活動家らは、困惑させられた。ハイレベル会議は120か国から成る非同盟運動(NAM)によって始められたものである。NAMは過去には、1994年に国際司法裁判所で核兵器使用とその威嚇の合法性に異議を唱えるなど、軍縮をめぐって数多くの取り組みをしてきた。

非同盟諸国の多くは、核兵器禁止条約を成立させた2017年の協議でも積極的な役割を果たした。では、NAMはなぜ、態度を変えてこの重要な会議をキャンセルしたのだろうか?

NAMの事務局として機能しているインドネシアの国連代表部は、ハイレベル会議の議長国となる適切な国を見つけられなかった、と示唆した。これは本当かもしれない。議長国就任の要請をいくかの国が断っている。しかし疑問は尽きない。NAM諸国の中には、ハイレベル会議の議長国になって、平和と軍縮の調停役として国際社会に名を馳せたかった国もあったのではなかったか?

一部のNAM関係者との非公式の話では、もっと深い理由がありそうだ。その大部分が、核問題に関する核保有国の絶大な影響力と強硬な姿勢に帰着する。このことは、いくつかの形で現れている。

第一に、NAMは、核保有国とその同盟国に対して国連ハイレベル会議への参加確約を取り付けることに失敗した。これらの国々が大使レベル(あるいはそれ以下)でしか参加しない中で会議を行うことは、ハイレベル会議の意義を損ない、これらの国々が何らかの核リスク削減あるいは軍縮措置に同意したとしても、約束の程度は弱まるだろう。

こうした議論は、仮にNAMが核保有国とその同盟国の首脳を参加させるために強力な圧力をかけ政治的資源を投入していたとすれば、理解しうるところだ。しかし、実際はそうではなかったようだ。諸国の指導者らは、単に国連決議が出たという理由だけで、国連サミットやハイレベル会議に参加することはないのである。

もしNAMの指導者らが、高位(首相・大統領クラス)の代表団を組んで自らこの国連会議に参加すると発表し、核保有国とその同盟国に同じようにするよう呼び掛け、これらの国々との二国間協議においてハイレベル会議への参加を優先事項として扱っていれば、核保有国も心を動かしたかもしれない。

しかし、NAM側にこうした努力の形跡がないことは、核軍縮問題に対するNAM全体としての決意と影響力を鈍らせるような何かがNAM内部で起こっているということであろう。

実際、冷戦終結以来、多くのNAM加盟諸国が、その他の非核保有国と同様、特定の核保有国と貿易・金融・政治上の緊密な関係を築いてきた。こうした国々は、そうした関係に重大な影響を及ぼすようなことするのをためらっているようだ。これらの国々は、見た目は素晴らしいが、核を保有する友好国への影響が現実には小さい核軍縮声明や決議なら、喜んで支持する。しかし、核保有国の実際の活動に大きな影響を与えかねず、これらの国からの怒り、または対抗措置すら招きかねない措置を取ることには尻込みする。

たとえば、このことは核兵器禁止条約の協議においても顕著に表れていた。核保有国とその拡大核抑止関係の下にある同盟国は、条約の一般的な義務は自らには適用されない、すなわち条約には加わらないとの意思を示した。

しかし、核保有国の行動にも直接の影響を与えたであろう条項を条約に加えるとの提案もあった。たとえば、条約締約国の領土・領海・領空における核兵器の通過の禁止や、核兵器への資金供与、すなわち核兵器関連企業への投資の禁止といったことである。条約の交渉当事国がこれらの提案を拒否したことは、核保有国に対峙することに後ろ向きであったことを示している。

このことはまた、国際司法裁判所でマーシャル諸島が核保有国に対して最近提起した訴訟においても顕著に表れていた。これは、核軍縮義務に違反する核保有国への直接的な法的挑戦であった。

しかし、どの非核兵器国もこのマーシャル諸島の訴訟に加わらなかった。どの国も、核保有国と直接対決することを望まかった。結果として、国際司法裁判所は、軍縮義務に関する現実の法的紛争は存在せず、したがって本件を棄却すると決定したのである。

核保有国と対峙することについて、NAMやその他の非核兵器国の決意のレベルが低いことが、国連ハイレベル会合延期の唯一の理由ではない。

もうひとつの理由は、核保有国間の対立の激化によって、もっとも強力な核軍縮推進国や「橋渡し国」ですら、こうした場において核保有国を互いに協力させることができなかった、ということではないか。

その証左になるのが、冷戦終結時に橋渡し役としてきわめて影響力があり成功を収めた国であるカザフスタンが最近出した2つの提案に対して、核保有国がとった態度である。カザフスタンは1991年、ロシアと米国を協力させて、核の脅威を削減させ、カザフスタン・ウクライナ・ベラルーシの核兵器を解体させ、これらの国々の核物質の安全を確保するうえで大きな役割を果たした。

しかし、核保有国間(とりわけ米ロ間)の協力を促進しようとしたカザフスタンの最近の2つの試みは、あまり成功しなかった。ひとつは、「非核兵器世界をめざす普遍的宣言」で、これは全会一致の支持が得られなかった。もうひとつは、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が国連安保理議長国の立場で1月18日に招集した「大量破壊兵器の不拡散:信頼醸成措置」について話し合う公開会合である。

米国はこの国連安保理の場を、信頼醸成措置を協議するのではなく、ロシアに対する多面的な攻撃の機会として利用した。これに対して、ロシアも同じく応酬した。この出来事と、核保有国間の対立が激化している状況から、一部のNAM加盟国が今はハイレベル会議を行うのに適切な時期ではないと判断したものとみえる。

一方で、他のNAM加盟国の中には、むしろこうした動向や北東アジア地域における他の緊張・紛争状況があるからこそ、今日ハイレベル会議を開催することが非常に重要であると考えている国々もある。

多くの市民団体もこの後者と考えを同じくしている。西部諸州法律家協会のジャッキー・カバッソ代表は国連で行った3月28日の記者会見で、「ハイレベルサミットが必要である時があるとすれば、それは今です。」と述べている。

カバッソ代表はまた、「今日私がここで言いたいことは、私たち全てを脅威に晒すような、きわめて、きわめて危険な形で対立している核大国同士が、この機会を捉えるべきだということです。」「このハイレベル会議は、4月に予定される南北朝鮮首脳会談と、5月あるいは6月の米朝首脳会談に挟まれた時期に行われるだけに、それに対する支持や奨励となりうるものです。」と語った。

国連ハイレベル会合の延期は、NAMがそれを完全にキャンセルしてしまう「手始め」になるのではないか、との懸念がある。「2018年遅く、あるいは2019年にハイレベル会議を開かねばならないという、市民社会や他の非核兵器国からの声にNAMは耳を傾ける必要があります。」と、「アボリション2000」核リスク削減作業部会のジョン・ハラム議長は語った。

「核保有国の紛争と政策が人類とこの地球に与える脅威は非常に大きく、あまりにもリスクが高いため、それを放っておくことはできません。ハイレベル会議は、核をめぐる厳しい対立から関連諸国を退かせ、世界を核軍縮に向けた軌道に乗せる上できわめて重要です。」とハラム議長は語った。

市民社会の活動は、NAMの決意を再構築させ、核保有国からの強い反対に対抗して行動をとらせることに過去にも成功してきた。

1993年には、核保有国からの圧力の結果、NAMは、核兵器の威嚇または使用の合法性に関して判断を下すよう国際司法裁判所に要請する国連決議の撤回に追い込まれた。このときには、勢いが削がれたかに見えた。

しかし、700以上の市民団体の連合が行動を起こし、NAMに対して、核保有国からの圧力に抵抗し、1994年の国連総会に決議案を再提出するよう動かしたのである。結果は、国連総会での採択へとつながり、さらに国際司法裁判所が、核兵器の使用とその威嚇の一般的違法性と、核軍縮達成の普遍的義務の存在を確認するという、歴史的判断が下されることになった。

国連ハイレベル会議を支持する市民社会の同様のキャンペーンが、NAMを動かして、この10月の国連総会で2019年にハイレベル会議を行うよう決めさせることができるかもしれない。市民団体は、この問題を討議するためにニューヨークに集まっている。(5.14.2018) INPS Japan/ IDN-InDepth News 

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