Nuclear Abolition News and Analysis

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Zero Nuclear Weapons: A Never-Ending Journey Ahead – Japanese

|核兵器ゼロ|前途に横たわる果てしない旅路

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連が初の「核兵器全面廃絶国際デー」(9月26日)を記念する式典を開催した際、ほとんどの反核活動家らの脳裏に浮かんだ根強い疑問は、果たして私たちは致命的な兵器の廃絶に近づけたのか、それとも完全廃絶からますます遠ざかっているのか、というものだった。

米国の核兵器計画を監視・分析している西部諸州法律財団(WSLF)のジャクリーン・カバッソ事務局長はIPSの取材に対して、世界各地で紛争が悪化し、第二次世界大戦後の国際秩序が崩壊しつつある中、「私たち人類は、新たな大国間戦争の時代に突入する瀬戸際にいます。つまり、国家安全保障の要として核兵器に固執している国々の間で戦争が勃発する可能性が高まっているのです。」と語った。

カバッソ氏は、「ウクライナ情勢を巡る米国-北大西洋条約機構(NATO)とロシア間の対立、中東、南アジア、朝鮮半島における核兵器を巡る緊張関係をみると、核戦争が勃発する可能性は絶えず存在していることを思い知らされます。」と語った。

逆説的だが、世界の大半の国々が軍縮措置を講じるものと理解している条約交渉を通じて、実は核兵器の近代化が推し進められている。

カバッソ氏は、「冷戦とポスト冷戦期を通して核軍縮に対するアプローチは、主に冷戦期に備蓄された正気とは思えないほどの膨大な核兵器の数を、―恐らくゼロに向けて―削減することに基礎を置いた定量的なものでした。」と語った。

「核軍縮は今や全く新しい局面を迎えています。つまり冷戦時代のグロテスクな余剰分(=大量の旧式の核兵器)を削減することで、核軍縮とは事実上、核兵器インフラに対する巨額で長期的な投資と、数十年先を想定した兵器の質的な改善を伴う「数は少なくなるがより新しい」兵器体系に変換していくことを意味するようになりました。」と、アボリション2000核兵器廃絶グローバルネットワークの設立者でもあるカバッソ氏は語った。

「核兵器全面廃絶国際デー」は、昨年9月26日に「核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合」が初めて開催されたことにちなんで、昨年12月の国連総会で採択された決議に盛り込まれ、核兵器が人類に及ぼしている脅威に対する大衆の意識を高めるために設けられた。

「世界には依然として16,000発を超える核兵器があります。」と、UNFOLD ZEROの共同設立者アラン・ウェア氏は語った。UNFOLD ZEROは、国連軍縮局と協力して「核兵器全面廃絶国際デー」記念イベントを国連欧州本部(ジュネーブ)において開催した。

「核兵器が使用されれば、その原因が偶発、誤算、意図的によるものかにかかわらず、人類社会、地球環境、そして世界の財政に壊滅的な結果をもたらすことになるでしょう。核兵器は世界から一掃しなければならないのです。」とウェア氏は語った。

核時代平和財団」ニューヨーク事務所のアリス・スレーター所長は、IPSの取材に対して、「国連が9月26日を新たに『核兵器全面廃絶国際デー』として制定したことや、NGOによるUNFOLD ZEROキャンペーンが国連の核廃絶に向けた取り組みを支援しているのは誠に素晴らしいことです。しかし、(核廃絶という)目標を達成するには、記念日の設定よりはるかに多くのことがなされなければなりません。」と語った。

核兵器廃絶という公約は1970年に核不拡散条約(NPT)が発効以来、その後の運用検討会議を通じて何度も確認されてきた。しかし最初の原爆が投下されて70年近く経過しているにもかかわらず、未だに16,300発の核兵器が存在し、その内千発程度を除く大半の核兵器を米国とロシアの二国が保有しています。」と「アボリション2000」調整委員会の委員でもあるスレーター氏は語った。

スレーター氏はまた、「9月22日には、ニューヨークタイムズ紙がついに、米国政府が、向こう10年間における核兵器や核関連施設、運搬システム(爆撃機、潜水艦、ミサイル)の近代化に要する予算として、3550億ドルを試算していることを一面で明らかにした。」と語った。

このことは、核戦争がもたらす壊滅的な人道的帰結に関する最近の研究が明らかにしているように、地球上の全ての生命を破壊し死をもたらすこうした道具(=核兵器)のために、米国政府が、向こう30年間に亘って1兆ドル(約108兆円)もの規模の予算を必要としていることになる。

スレーター氏はまた、「米国―ロシア間の関係悪化が、核軍縮プロセスの進展をさらに行き詰らせる要因となっています。」と指摘した。

米国は、ロシアと締結していた弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約から脱退し、ポーランド、ルーマニア、トルコにミサイル防衛の迎撃拠点を構築したほか、ベルリンの壁が崩壊した際にソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領(当時)に対して「北大西洋条約機構(NATO)は東ドイツを越えて東に拡大することはない」とした約束を反故にして、東欧におけるNATO軍の増強を決めている。また、ウクライナでは、(ロシアの介入で緊迫する東部情勢に対抗するため)NATO軍が西部で合同軍事演習を実施している。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍備管理・軍縮・不拡散プログラムのシャノン・カイル上席研究員は、IPSの取材に対して、「世界における核兵器の数は、冷戦時代の最盛期と比較すると大幅に削減されていますが、現状をみる限り、核兵器保有国が本当に核兵器の廃絶を企図していると期待感を抱ける状況ではありません。」と語った。

カイル氏はまた、「こうした核兵器保有国の大半は、新型の核弾頭運搬システムの配備を含む核戦力の近代化に関する長期計画を推進しています。」と指摘したうえで、「恐らく最も憂慮すべき局面は、核軍縮を推進していくうえで不可欠な米国の指導力が徐々に後退してきていることです。」と語った。

カバッソ氏は、「米ロの議会が批准承認に際して各々の政治解釈に基づく付帯決議を行ったため、新戦略兵器削減条約(新START)は事実上、反軍縮措置(=核兵器近代化推進措置)へと変質してしまっています。」と指摘したうえで、「その実態については、数十億ドル規模のウラン処理施設の建設が審議されているオークリッジ国立研究所を選挙区に抱えるボブ・コーカ―上院議員(共和党テネシー州選出)の次のような発言が雄弁に物語っています。」と語った。

「私とスタッフらの努力が実を結び、新戦略兵器削減条約は、『2010年版核近代化及びミサイル防衛法』と容易に言い換えることができるでしょう。」とコーカ―上院議員は述べている。

カバッソ氏は、以前1990年代末にビル・クリントン政権が、包括的核実験禁止条約(CTBT)への上院による批准を求めた際にも、議会からホワイトハウスに対して同様の力学が働いた、と指摘した。

核兵器複合体と議会の協力者は、これまでにホワイトハウス側から、数十億ドルにのぼる将来的な核兵器近代化予算に対する支持を獲得してきた。

その結果が、先述ニューヨークタイムズ紙が報じた、巨額の新型核兵器研究プログラム予算なのである。

「こうした取引は実態が伴わないものであり、毎回より多額の軍事費が充てられる一方で、意味ある軍縮が進んでいない実態について、私たちはもっと早く気づくべきでした。」とカバッソ氏は語った。

発効から45年、NPTの第6条には核軍縮を進める義務が明記されているにもかかわらず、近い将来に核軍縮交渉が開始される兆しは見えてきていない。

この3年間、非核保有国による核軍縮への取り組みが国連の内外において活発に展開されたが、こうした動きに対する米国政府の反応は、良くても不参加、一方最悪の場合、否定的或いは妨害的な態度をとることもあった。

スレーター氏はIPSの取材に対して、「今日の行き詰まりを打開するうえで最も見込みのあるイニシアチブは、非核保有国に対してかつての生物兵器や化学兵器の時と同じように核兵器を法的に禁止する条約交渉を始めるよう強く求めている核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の活動です。」と語った。

今年12月には、先のノルウェー会議、メキシコ会議に続いて、第3回「核兵器の非人道性に関する国際会議」がオーストリアのウィーンで開催される。

「願わくば、NPTの公式核兵器保有5大国(米国、ロシア、英国、フランス、中国)による出席が(引き続き)なくても、このイニシアチブが核兵器の禁止に向けた交渉プロセスを開始することで、(核保有国が)『核兵器全面廃絶国際デー』を尊重するよう国際的な圧力をかける糸口を作り、最終的には核兵器禁止条約を交渉できるようになってほしいと考えています。」とスレーター氏は語った。

カイル氏は、「オバマ大統領は2009年のプラハ演説の中で、人々を大いに鼓舞することとなった『核兵器のない世界』に向けたビジョンを示したうえで、核兵器の数と役割を減じさせるための『具体的な措置』をとると約束しました。」「それだけに、核軍縮を支持してきた人々にとって、オバマ政権が核兵器生産複合体施設の大規模な刷新に乗り出したという最近の報道は、とりわけ大きな失望となったのです。」と指摘した。

「米国政府はこの措置によって、数ある目標のなかでも、既存の核兵器の信頼性を長期に亘って確保するための改修作業と、次世代の核ミサイル、爆撃機及び潜水艦を開発することが可能になります。」とカイル氏は説明した。(09.27.2014) IPS Japan

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