Nuclear Abolition News and Analysis

Reporting the underreported threat of nuclear weapens and efforts by those striving for a nuclear free world.
A project of The Non-Profit International Press Syndicate Group with IDN as flagship agency in partnership with Soka Gakkai International in consultative
status with ECOSOC.

logo_idn_top
logo_sgi_top

Watch out for our new project website https://www.nuclear-abolition.com/

About us

TOWARD A NUCLEAR FREE WORLD was first launched in 2009 with a view to raising and strengthening public awareness of the urgent need for non-proliferation and ushering in a world free of nuclear weapons. Read more

IDN Global News

Rising Concern in Russia About Spiralling Arms Race

|ロシア|激化する軍拡競争に高まる懸念

Photo: More than 100 US-built missiles having the capability to strike Moscow with nuclear warheads were deployed in Italy and Turkey in 1961. In August 1963, the US joined the Soviet Union and United Kingdom in agreeing to ban nuclear explosions in the atmosphere, outer space, or under water, and places significant restrictions on detonating nuclear devices underground. The Limited Test Ban Treaty reflects concerns about the dangers of nuclear fallout. A high-speed “hotline” connecting the leaders of the Soviet and U.S. governments is established to mitigate the risk of accidental warfare. Credit: Wikimedia Commons.【モスクワIDN=ケスター・ケン・クロメガー】

ロシアは、今日蔓延している核拡散のリスクと脅威は、核不拡散条約(NPT)の厳格な履行によって除去できると考えている。その際、核不拡散・軍縮・原子力の平和利用という三本柱の間のバランスを尊重し保つことが必要だとしている。

2020年は4月から5月にかけて、ニューヨークの国連本部でNPT再検討会議が開催される。セルゲイ・ラブロフ外相は、来たる再検討会議では「できるだけ対立を避けたい。お互いに話をせず、耳を傾けることすら拒否し、他者が言っていることに関しててんでばらばらに言いたいことを言っていた2015年NPT再検討会議の二の舞は避けなくてはならない。」と考えている。

「こうした対立こそが、(ロシア政府が見るところの)むしろ危険で同時にただの幻想に過ぎない現象、つまり、核兵器国の安全保障上の利益と戦略的現実を考慮に入れることなく核兵器を放棄することを『強制』しようという傾向が広がる原因であった。こうしたアプローチは、現在は署名開放されている核兵器禁止(核禁)条約の起草が加速されるという結果につながった。」と、ラブロフ外相は2019年11月8日にモスクワで開催された会議で行った演説の中で語った。

ラブロフ外相は「ロシアは核禁条約に加盟する予定はない。」と強調したうえで、「ロシア政府は核兵器のない世界を構築するという目標は共有している。しかし、この目標は、核禁条約が依って立つところの、単独主義的でむしろ傲慢な方法によって達成すべきではない。核兵器の完全廃絶は、NPTに従って、核兵器保有国も含めたすべての国々にとって平等で不可分の安全保障が確保された一般的かつ完全な軍縮という文脈でのみ可能だ。」と語った。

ロシア諸民族友好大学法学部長でロシア外務省科学諮問委員会の委員でもあるアスラン・アバシゼ教授は、IDNの取材に対して、「米国は、ロシアや米国の西側パートナーが数年に及ぶ厳しい協議を経て締結したいくつかの条約から脱退する傾向にある。」と指摘した。また、「残っている戦略的多国間条約のなかで重要なものは、核兵器国間の信頼醸成を主目的とするオープンスカイズ条約だが、残念なことに、米国政府はこの協定からも一方的に離脱する意図をくり返し明らかにしている。」と語った。

同時に、米ロの戦略核兵器を制限している新戦略兵器削減条約(新START)が危機に瀕している。新STARTは2010年4月8日にプラハで締結され、米ロ両国の批准を経て2011年2月5日に発効した。この条約は2021年2月に失効する。

新STARTは、ジョージH.W.ブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領が開始した両国の戦略核兵器を検証可能な形で削減するプロセスを継承したもので、重要なのは、1994年に発効した第一次START(1989年失効)以来、米ロ間で合意した初めての検証可能な核軍備管理条約であるという点である。

アバシゼ教授は、「米国政府は、新STARTの延長に関する実質的な協議を求めるロシアの呼びかけに応えていない。そして今日の西側諸国には、かつて1980年代に米ソ軍拡競争に反対した運動のような動きがみられない。」と嘆いた。

アバシゼ教授はまた、「制御を失った軍拡競争は、近い将来、米国とロシアを含むあらゆる国々に計り知れない苦しみをもたらすのみならず、大量破壊兵器の拡散に対する国際的な規制メカニズムを毀損させ、核使用の大惨事とまではいかないまでも、予測不能で回復不能な結果がもたらされることになる。」と警告した。

同じく深刻に懸念されるのは中距離核戦力(INF)全廃条約の停止である。2018年10月20日、ドナルド・トランプ大統領は、ロシアの条約違反と中国の中距離ミサイル戦力に対する懸念を表明しINF条約から脱退すると表明した。専門家らによると、INF条約に関しては依然として対話の扉は閉ざされていないという。「米国が半年前に条約から離脱の意図を正式に通告したことで、条約の残存有効期間が6か月になった。」と、CIS諸国研究所副代表で軍事評論家のウラジミール・イェフセエフ氏は「ネザビシマヤ・ガゼッタ」紙の取材に対して語った。

「条約はいったん有効期限が切れると、その効力を失う。離脱プロセスはこのように機能するものだ。通常は、国益や国家安全保障上の脅威を持ち出して、条約からの離脱が正当化される。しかし、米国の態度が当初から非建設的であったために、ロシアは米国と妥協点を見出すことができなかった。米国はまず脱退の決定ありきで、あとからその理由を探したのだ。」とイェフセエフ氏は語った。

「条約脱退の動きは、米国防省の専門家による評価に由来している。すなわち、米国は射程5500キロを超える地上発射型の極超音速兵器を開発できない、という評価だ。この評価が出てから、緊張が高められた。」とイェフセエフ氏は指摘した。

2019年5月、ロシアの『イズベスチア』紙は、プーチン大統領のINF履行停止法案が世界に対するシグナルとして発せられたと報じた。この中でロシア国会の議員らは同紙の取材に対して「ロシアは、INF全廃条約の履行を停止するという法案を出すが、いかなる時でも条約の履行を再開する権利を保留している。」と語っていた。

専門家によれば、プーチン大統領が5月30日に提出した法案は、ロシアは現状を維持する用意があるという国際社会に対するシグナルだったが、米国の動きに応じてやり返すことで自らの安全を完全に確保する心づもりでもあった。

ロシア下院国際問題委員会のアレクセイ・チェパ副委員長は、「これは米国の条約離脱に対する一つの報復措置だと述べた。もし米国が望むなら、ロシアは条約に復帰する権利を保留している。残念なことに、米国は欧州での緊張を煽り、NATOが軍事支出を増やすことに関心があるようだ。」と語った。

「加えて、米国には企業や政治家から成る強力なロビー集団がある。彼らは、条約の履行停止を利用して兵器生産に励み、より多くの資金を獲得しようとしている。これが国際社会で更なる緊張を生むかもしれない。」

「INF条約の履行が停止される中、NATO諸国間の深刻な対立が出てくるかもしれない。ポーランドやバルト三国のような米国の外交政策に忠実な支持国が、米国製核兵器の自国内配備を容認する可能性がある一方、他の欧州諸国はより慎重なアプローチを採り、米国の『足場』になることに同意しないだろう。」とチェパ副委員長は語った。

プリマコフ国際・世界経済研究所のセルゲイ・マラシェンコフ上級研究員はIDNの取材に対して、「かつてINF条約で禁止されていた米国のミサイルは、欧州ではNATO諸国に、アジアでは、米軍基地がある日本や韓国に配備可能だ。これらの中距離・短距離ミサイルは、米国から直接発射することもできる。例えば、ロシアをアラスカから隔てているベーリング海峡は、わずか幅86キロしかない。」と語った。

1987年12月にロナルド・レーガン大統領と共にINF条約に調印したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は、INF失効に伴って世界政治に混乱と予測不能性がもたらされたと強い警戒感を示した。ゴルバチョフ氏は経済紙「ベドモスティ」に寄稿した記事の中で、「米国のINF条約撤退が状況を反転させた結果、私たちが冷戦に終止符を打って以来成し遂げてきたあらゆるものが、危機に晒されている。」と記している。

「米国は、自らの立場を正当化するために、中国やイラン、北朝鮮などその他の国々が保有する中距離ミサイルに目を向けさせようとしている。しかし、米国とロシアが依然として世界の核兵器の9割を保有していることから、このアプローチは説得力を持たないようだ。核保有に関して、米ロ両国は依然として世界の超大国なのだ。」

「他国の核戦力は、米ロ両国の規模と比較すれば10分の1か15分の1に過ぎない。明らかに、核兵器削減のプロセスが続いていたならば、英国やフランス、中国といった他の国々もどこかの時点でそれに加わっていたことだろう。」とゴルバチョフ氏は結論付けた。

ゴルバチョフ氏の見方では、既存の軍備削減協定に関する米国政府の真意は異なったところにあるという。ゴルバチョフ氏は、「米国は軍備領域におけるあらゆる制約から自らを解き放ち、完全なる軍事的支配を達成しようとしている。しかし、一国による覇権は今日の世界では不可能だ。」と強調した。

ゴルバチョフ氏は、米議会の議員らに対して、核兵器問題についてロシアとの対話を始めるよう呼びかけた。「残念ながら、近年米国内で生じている敵対的な国内政治状況により、核兵器の問題を含むあらゆる領域の問題に関する米ロ両国間の対話が阻害されている。党派間の違いを乗り越えて、真剣な対話を始めるべき時だ。」とゴルバチョフ氏は語った。

「政治家は、現状を分析し、自らの行動が新たな軍拡競争を起こさないようにしなくてはならない。ロシアにはその準備があると、私は自信を持って言える。」とゴルバチョフ氏は断言した。(12.18.2019) INPS Japan/ IDN-InDepth News

 

Search

Newsletter

Report & Newsletter

Toward a World Without Nuclear Weapons 2022

Scroll to Top